腎不全には急激に腎臓の機能が悪化する急性腎不全と、数ヶ月から数十年の長い年月をかけて腎臓の機能が徐々に低下する慢性腎不全の2種類があります。
急性腎不全
急性腎不全とは、数時間~数日の間に急激に腎機能が低下する状態です。尿から老廃物を排泄できなくなり、さらに体内の水分量や塩分量など(体液)を調節することができなくなります。急性腎不全は、早期発見と国際的に共通にするとの観点から現在では急性腎障害と呼ばれるようになりました。急性腎不全は障害のある場所によって腎前性、腎性、腎後性の3つの原因に分けられます。
- 腎前性:腎臓に十分な血液量が流れない状態になったために起こり、腎実質に異常はありません。原因としては、脱水・大量出血・心不全・重症感染症などが挙げられます。
- 腎性:腎臓そのものの病気や薬物の影響により起こってきます。
- 腎後性:結石や前立腺肥大症、腫瘍などによって尿路がつまり、尿が体外に排出されないことにより起こります。
適切な治療を受けることによって、正常な腎機能に回復する可能性があります。
慢性腎不全
慢性腎不全は数ヶ月から数十年かけて腎機能が徐々に低下し、腎臓のろ過能力が正常時の30%以下となって、体内の正常な環境を維持できない状態のことをいいます。慢性腎臓病(CKD)が進行することで発症し、腎機能の回復は見込めず、高度な腎機能低下の場合、多くは末期腎不全(腎臓のろ過能力が15%未満)へと進行し、生命に危険をきたします。そして最終的には、透析や腎移植をする必要が出てきます。
腎機能の低下に伴って、現れる症状は下記のとおりです。
- 尿量の変化:夜間の尿が増え、トイレに行く回数も増える。朝の尿の色が薄く無色になる (末期腎不全まで進行すると尿が作られなくなり、尿量が減る)
- 尿毒症:疲労感、吐き気、食欲不振、かゆみ、頭痛、動悸、息切れ、脈の乱れ、呼吸困難など(進行するとけいれんや意識障害が起こる)
- その他:むくみ、高血圧、貧血、骨がもろくなる、血清カリウム値の上昇など
透析治療が必要になった患者さまの主要疾患は、多い順に、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症、多発性のう胞腎などです。近年は社会の高齢化によって糖尿病性腎症と高血圧に起因する腎硬化症が増えています。